独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
翌日、透哉さんの仕事が休みだったので、近くのカフェでお茶をすることになった。

歩いていこうとマンションのロビーに下りると、エントランスの前に不審な動きをしている男性の姿があり、眉をひそめる。

ガラスが反射して男性の顔がよく見えないけれど、外から中を覗いているようだ。

一体あの男性はなにをしているのだろう。

「あ」

するとなぜか男性が私たちに向かって声を上げ、駆け寄ってきた。

「あなたは……」

透哉さんの声が歪んだ。

怪しい男性はまさかの森窪さんだった。

「森窪さん? どうしたのですか?」

私は戸惑う。正直彼にはもう二度と会うことはないと思っていたからだ。

「真崎さんに連絡しても全然つながらないから直接来ちゃったよ」

「こちらはあなたと話すことはなにもないですが」

すぐさま透哉さんが遮ると、森窪さんは苦笑いする。

「え。俺はあなたの奥さんと話すだけでもだめなの? 嫌われたもんだなあ。もう奥さんに不埒な真似はいたしませんって。とにかく玲於奈ちゃんの話だけ聞いてほしいんだ」

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