独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「玲於奈の話?」

透哉さんは怪訝な表情をした。

私も状況を理解できない。

「そう。なんか俺のせいで大ごとになってるだろ? でも玲於奈ちゃんは真崎さんがガールズバーで働いてるのはおろか、俺がガールズバーを経営してるのすら知らなかったんだよ」

「え?」

「面接のとき、真崎さんがわけありそうだったから、俺が軽はずみに声をかけたの。玲於奈ちゃんからは『大切な友人の奥さまだから、くれぐれもよろしくね』ってお願いされていたのにさ」

私は目を見開いた。

それなら玲於奈さんはどうして私に、『私がなにも知らない? 本当にそう思っているんですか?』なんて誤解を招くような言い方をしたのだろう。

「なのに玲於奈ちゃんから、真崎さんの旦那さんには絶縁され、ウエディングドレスのオーダーもキャンセルになったって聞いて、俺は罪悪感がすごくてさ。居ても立っても居られなかった」

私も透哉さんも混乱した。

でも森窪さんが嘘をついているとは考えられなかった。

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