独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
明日の昼過ぎ、玲於奈さんのアトリエに行こうと決める。

透哉さんは仕事だけれど、少しだけ抜けてきてくれるらしい。

とにかく玲於奈さんに会ってあの真意を聞きたかった。


翌日、玲於奈さんのアトリエの前に着いた頃、透哉さんから『会議が押していて少し遅れそうだ』と連絡があった。

私は了承し、その場で彼を待とうとする。

でもお客さまのお見送りに出てきた玲於奈さんと図らずも顔を合わせてしまった。

「琴子さん？」

玲於奈さんは目を丸くした。

選択の余地なく、私は透哉さんが来る前に彼女と話す流れになってしまう。

「いきなりすみません。透哉さんももうすぐ到着する予定なのですが、お話ししたいことがあります」

「……どうぞ」

声をかけると、玲於奈さんはためらいながらも私をアトリエに入れてくれた。

個室で向かい合って席に着く。気まずい空気が漂った。

「……どういったご用件でしょうか？」

口火を切ったのは玲於奈さんだった。

「昨日、森窪さんがマンションに来たんです」

私は単刀直入に告げた。

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