独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「森窪さんが？」

「はい。玲於奈さんは私がガールズバーで働いているのはおろか、森窪さんがガールズバーを経営しているのすら知らなかったのだと言っていました」

玲於奈さんはきまりが悪そうに目を逸らした。

やはり森窪さんの言っていたことは本当だったのだと、私は確信する。

「玲於奈さんはどうして私にあんな言い方をしたのですか？」

故意に誤解させたのはなぜだろう。

簡単には明かしてくれないだろうと思っていたけれど、玲於奈さんは息をつくとおもむろに口を開く。

「自暴自棄になったんですよ」

「え？」

「無条件に透哉に守られて愛されているあなたがうらやましかったんです。だからつい傷つけたくなって、あなたを挑発してしまいました。怒らないでくださいね。私はそれで透哉との友情を失ったんですから」

玲於奈さんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。

怒ってなどいない。ただ彼女が透哉さんに恋愛感情を持っていたなんて気づいていなかった私は、どう返せばいいのかわからなかった。

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