独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
彼は納得したようにうなずく。

「そうか。玲於奈、思い違いをして本当に申し訳なかった」

すぐさま詫びた彼に、玲於奈さんは目を見開く。

「なによ、そんなにあっさり……」

彼女は動揺を隠せない様子だった。

「もう俺と友人ではいてくれないか? 玲於奈が許してくれるまで、俺は何度でも謝る。すまなかった」

真摯に謝罪する透哉さんに、玲於奈さんは口を開きかけ、ぐっと奥歯を噛み締めた。

彼女が彼を受け入れたいと思っているのは目に見えてわかった。けれどどうしても素直になれないようだ。

「私、透哉さんと玲於奈さんにお願いがあります」

膠着状態のふたりに、私は割って入った。

「なんだ?」

透哉さんは私を促す。

「当初の予定通り、玲於奈さんにウエディングドレスを作ってもらいたいです」

突然の申し出に、透哉さんも玲於奈さんも驚いた顔になる。

「琴子さんが私に気を遣う必要はないですよ。ウエディングドレスはほかのデザイナーさんにオーダーしたほうがいいです」

玲於奈さんは言い切った。

どうやら私が同情していると思っているようだ。

< 120 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop