独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「透哉さん、プレゼントってもしかして夜景ですか？」

私は車窓から外を見つめながら彼に尋ねた。

今夜はとても星がきれいな夜だ。

「夜景とはロマンチックなプレゼントだな。でも違うよ」

透哉さんは楽しそうに笑う。

車は見慣れた道に入っていった。

このまままっすぐ進めば、私の実家があったところの近くを通りそうだ。

そう思っているうちにも車はその場所に接近し、ゆっくりとアイアンの門扉の前で停まる。

以前私がひとりで来たときには立っていた【売家】の看板は取り去られていた。

家の中に明かりは灯っていないが、もう誰かが住んでいるのかもしれない。

「こんなところでどうしたのですか？」

私の元実家になにか用があるのだろうか。

私は透哉さんに顔を向けた。

「これが君へのプレゼントだよ」

彼は私に小さな銀色の鍵を差し出す。

「……え？」

「この屋敷を買い取ったんだ。せめてしばらくはお母上に知られないように間接的に取り引きしていたから、俺の手に渡るのに少し時間がかかってしまった。ここはまた琴子のものだよ」

一体なにが起こっているのかわからなかった。

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