独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「私のもの……?」

私は呆然と鍵を受け取る。

「ああ。君の家だ」

「どうして透哉さんは私の気持ちがわかるんですか……?」

本心は誰にも言わなかった。

借金があるのに身勝手な考えは捨てたつもりだった。

それでも本当は、父が残してくれたこの屋敷を手放したくなかったのだ。

「言葉にしてもしなくても、琴子の望みは俺がすべて叶える。琴子の幸せが俺の喜びだから」

溺れるほどの大きな愛で、彼は私を包み込む。

手中に戻ってきた大切な鍵を握り締めて涙をこぼす私を、彼はそっと抱き寄せた。

「生涯をかけて君を愛すよ。明日みんなの前で誓う前に、君だけに伝えたかった」

「透哉さん、ありがとう……。私も生涯あなただけを愛します……」

こんなにも私を大切にしてくれる彼と添い遂げられるなんて、私は本当に幸せ者だ。

私は一生この夜を忘れない。


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