独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
『君からその言葉が聞けてよかった。あとは俺に任せてくれ』

私が決意すると、透哉さんはほっとしたように口にした。

二、三日以内に改めて連絡すると言い残し、彼は通話を切る。

私は母に彼からの電話の内容を伝えるためリビングに向かった。

「あらそうなの。透哉さんがどうしても琴子と結婚したいとおっしゃるならいいでしょう。真崎家よりよい家柄のご令息なんてそうそういないし、私は賛成よ」

私から話を聞いた母は、勝ち誇ったような表情で手のひらを返した。

どうやらあちらから断られるくらいなら、その前にこちらからと考えていただけらしい。

私はその不誠実さに少しもやもやした。


そして二日後には透哉さんから、両親を説得できたと連絡があった。

「本当ですか?」

『ああ』

驚く私に、透哉さんは事もなくうなずいた。

「一体どうやって……?」

 この間の彼の両親の言動を考えれば、私との結婚を簡単に認めるとは思えなかった。

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