独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「ここは若いお客さんが多いの。まあ四、五十代のお客さんも来てくれるけどね。年齢層はけっこう幅広いかも」

マヤさんと名乗ったリブワンピースの女性店員さんが教えてくれた。

森窪さんは奥にいた四十代くらいの男性店長に声をかけると、マヤさんたちに私を託し、カフェに戻ってしまう。

私がバーカウンターで彼女たちから説明を受けていると、「新人さん?」とスーツ姿のお客さまが声をかけてきた。

「ドリンクごちそうするよ」

そう微笑まれ、いきなりで戸惑っていたら、マヤさんがうまく場を取り持ってくれた。お酒は苦手だと告げると本当にそれで問題なく、私はお客さまからソフトドリンクをいただく。会話もかなりぎこちなかったけれど、営業の外回り中の息抜きにやってきたというお客さまは楽しんでくれた様子で、二時間の体験入店はあっという間に過ぎた。

バックヤードに入ったタイミングで、『どうだった?』と森窪さんから私のスマートフォンに電話がかかってきた。

がんばれそうだと思った私は、「ぜひこちらで働かせてください」と志望する。森窪さんは快諾してくれた。

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