独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
ロッカールームで手渡されたのは、胸もとが大きく開いていて、スカート丈がかなり短いシャンパンゴールドのワンピースで、私は戸惑う。

屈むと下着が見えそうで、たとえカウンター越しでも抵抗感があった。まさかこんな服を着なければいけないなんて想定外だ。

「真崎さん、すっげー似合ってる。かわいいよ」

やむを得ずそのワンピース姿で店に立った私を、森窪さんは絶賛した。店長やマヤさんたちも口々に褒めてくれたけれど、私は複雑な心境だ。

さらにお客さまからカクテルを勧められ、苦手だと言っても許してもらえなかった。

強くないお酒を何杯も飲まされて、夕方に退勤する頃にはフラフラになってしまう。私はうっかりロッカールームにあるソファで寝込んでしまった。

「うそ……」

気がついたときには、時刻は午後八時前――もうすぐ透哉さんが帰宅する時間だった。

私は青ざめ、急いで私服に着替える。

「大丈夫?」

するとそこへ、ミネラルウォーターのペットボトルを持った森窪さんがやってきた。

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