独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「もちろんどんな理由でも、うちで働いてもらう分にはなんの問題もないんだけどさ。ただの俺の個人的な興味っつーか」

森窪さんはシートベルトをはずし、私に覆い被さってくる。

「君次第だけど、困ってるなら俺がなんとかしてやろうか?」

少し顔を動かせば、唇が触れ合いそうな距離だった。

森窪さんのはだけた胸もとからスパイシーな香水が匂い、私はわななく。

「い、嫌……」

「なにが?」

なにがというよりなにをされるのかわからなくて怖かった。

森窪さんはごつごつした手で私の頬を撫でる。

「人妻ってなんでこんなにエロく見えるんだろな?」

「し、知りません……」

軽率に森窪さんの車に乗ったのを後悔した。

透哉さん、助けて――。

心の中で叫び声を上げたとき、助手席の窓が割れるかと思うほどの衝撃を感じた。

「うわ、なんだよ」

森窪さんの驚いた声と視線につられて窓に目を向ける。

するとそこには私の望み通り透哉さんがいて、私は驚いた。

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