独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「わ、私、浮気なんてしていません」

私はすぐさま否定した。

それに、一度も口にしたことはないけれど、私は望まない結婚なんてしていない。

透哉さんと結婚できて本当に幸せなのだ。

「指一本でもほかの男に触れさせれば浮気だ。こんなことなら俺を愛せと、最初から言葉でも君を縛りつければよかった」

私は彼がなにを言っているのか理解できなかった。

「自分がこんなにも独占欲の塊だなんて知らなかった。嫉妬で頭が煮えたぎりそうだ」

嫉妬?

彼は私を押し倒し、仄暗い目でのしかかってくる。

「もう紳士ではいられない。君が誰のものか思い知らせてやる」

「っん!」

噛みつくような口づけをされ、荒れ狂う熱情をぶつけられた。

そのまま何時間も激しく抱かれ続ける。

体のどこを探しても、彼の唇が触れていないところはないほど求め尽くされた。

私は泣いて「もうできません」と彼に許しを乞う。それでも彼は愛撫をやめてくれなかった。

乱暴はされていないし、傷ひとつ付けられてもいない。

ただそこにいつもの穏やかで優しい彼はいなかった。


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