独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「十年前、君がお父上の仕事に同行していた頃から好きだった。可憐な君にまるで運命のように一目惚れしたよ。でも君は俺に見向きもしなかったね」

彼からの告白は唐突で、私の頭の中は真っ白になった。

「透哉さんが私を好き……？」

「ああ。会えなくなっても君を忘れたことはなかった。君は俺の初恋の人だから。なんとか君と再会し、結婚するにはどうしたらいいか――考えた末、俺は自分の立場を利用し、政略結婚という名目で君を妻にすることにしたんだ」

「私の父への後悔の話は嘘だったのですか……？」

私は呆然と問いかけた。

「嘘じゃない、本当だよ。だがそれは君を口説くための大義名分に過ぎないほど、君への想いのほうが強かった」

透哉さんの口調は揺るぎなかった。

私がそんなにも彼に想われていたなんて思ってもみなかった。

でもよくよく考えてみたら、彼は最初から私に惜しみなく愛情をかけてくれていた。

私がそれを素直に受け取っていなかっただけだ。

「……透哉さん、私たちはすれ違っていたんですね」

私はぽつりとつぶやいた。

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