隣の圏外さん
「悪い子見ーっけ」
長い古典の授業が終わり、教科書とノートを片付けていると隣から声が聞こえてきた。
左隣を見ると寺元梓がこちらを見ている。
「さっきの授業中にスマホ触ってただろ」
「あ……うん。あの写真を送ってきた梓って寺元梓?」
「そ。俺。笑ってたな」
そう言って寺元梓は破顔した。
思わずドキッとしてしまう。
「て、寺元梓だって授業中に触ったってことでしょ」
波打つ心を誤魔化すように反論するが、寺元梓はけろりとした表情だ。
「いや、俺は先生が来る直前に送った」
気づかなかった……。