隣の圏外さん
片付けを終えると、放送部全員で部室に集まった。
顧問の先生にも来てもらっている。
「部長、田中先輩。3年間お疲れ様でした」
焼き菓子の詰め合わせと皆で書いた色紙が、2年生の先輩の手によってお二方に渡された。
「わあ、ありがとう」
「ありがとう」
田中先輩も部長も、受け取ってすぐに色紙のメッセージを読んでくださっている。
「倫太郎のこれ、素っ気ないぞ!」
田中先輩が突如顔を上げて言い放った。
「うわ、本当だ。『ありがとうございました』としか書いていない」
部長も色紙を見て笑っている。
「そういうのって、何を書けばいいのかわからなくない?」
常盤君は部長が持っている色紙を横から見つめた。
常盤君へ回す順番を最後の方にして、皆のを参考にしながら書いてもらうべきだったか。