隣の圏外さん
中庭に出ると、ずらりと並んでいる3年生の先輩方の模擬店が目に入る。
「いらっしゃい」
お昼ご飯にちょうどいいということで、焼きそばが売られている部長のクラスのテントに来た。
「2つください」
ちょうど部長がいらっしゃったので、部長に声をかける。
「はいよ。そう言えば、永瀬さんのクラス、脱出ゲームだっけ? 後で行こうと思ってたんだ」
「そうです。常盤君が部活のときとは大違いで真剣に謎を考えてくれました」
「はは、それは興味深いな」
チケットを渡し、部長から焼きそばを2つ受け取った。凛ちゃんと私の分だ。
「まさか、部活の方にもやる気を出してくれるとは思わなかったけど」
部長はいたずらっぽく笑った。
「寝耳に水ですよね。2年生の先輩方が不参加で1人で挑む予定だったので、常盤君が心変わりしてくれてほっとしています」
「頑張ってな」
「ありがとうございます」
部長に軽く会釈して、凛ちゃんが待っている休憩用のベンチに戻る。