隣の圏外さん


 中庭に出ると、ずらりと並んでいる3年生の先輩方の模擬店が目に入る。


「いらっしゃい」

 お昼ご飯にちょうどいいということで、焼きそばが売られている部長のクラスのテントに来た。


「2つください」

 ちょうど部長がいらっしゃったので、部長に声をかける。

「はいよ。そう言えば、永瀬さんのクラス、脱出ゲームだっけ? 後で行こうと思ってたんだ」

「そうです。常盤君が部活のときとは大違いで真剣に謎を考えてくれました」

「はは、それは興味深いな」


 チケットを渡し、部長から焼きそばを2つ受け取った。凛ちゃんと私の分だ。


「まさか、部活の方にもやる気を出してくれるとは思わなかったけど」

 部長はいたずらっぽく笑った。


「寝耳に水ですよね。2年生の先輩方が不参加で1人で挑む予定だったので、常盤君が心変わりしてくれてほっとしています」

「頑張ってな」

「ありがとうございます」


 部長に軽く会釈して、凛ちゃんが待っている休憩用のベンチに戻る。

< 121 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop