隣の圏外さん


「私たち、今日は食べすぎかな」

 少し不安に思って凛ちゃんに話しかけた。


「栄養のあるものだから問題ないでしょ。あとでクレープも食べる予定だけど」

 潔い凛ちゃんの言葉に笑ってしまう。

 まあ、せっかくだから思い切り楽しんだ方がいいよね。


 そして豚汁を食べ終わってすぐに、凛ちゃんはクレープを売っているテントの方へ向かった。


 彼女の背中を見ながら、考える。

 凛ちゃんに、相談した方がいいのだろうか。


 凛ちゃんも梓のことが好きだという可能性も、考えられないわけではない。

 実際のところ、梓のことをイケメン君と呼んでいたくらいだから、どちらかと言えば良い印象なはずだ。


 もしそうだった場合は、どうしたらいいのだろう。

 もちろん牽制したいわけではない。

 遠慮はしてほしくない。

 同じ人を好きだったとしても、それぞれ頑張ろう、という話になりそうな気はする。


 それならば、わざわざ話す必要はないのかな。

 友達だから話しておくべきだなんて大義名分を掲げて、実のところは単に聞いてもらいたいだけかもしれない。


 それは、迷惑なことではないだろうか。

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