隣の圏外さん
文化祭 2日目
2日目は受付を担当する日だ。
「結衣子、似合うじゃん」
凛ちゃんが衣装姿を褒めてくれる。
たとえお世辞だとしても、そう言ってもらえると嬉しいし、安心する。
ちなみに、梓は今日も案内係らしい。
彼の集客力を見込んでそうなったようだ。
女子は自分も衣装を着てみたいと言う子が多かったけど、男子はそうでもないらしくて、ずっと裏方をやりたいという人もちらほらいた。
だから、そういう人にとっては役割を交替しなくてよくなり、好都合なのかもしれない。
そんなことを考えながら、ぼーっと梓を見ていると、目が合ってしまった。
やばい、見すぎたかも。
内心焦っていると、梓がこちらに近寄ってきた。
「永瀬も今日は表方なんだな」
梓が声をかけてくれる。
「うん。ど、どうかな」
梓の視線が私の衣装に向いていた気がしたので、つい尋ねてしまった。
どうかなって何だ。
感想を求められても困るでしょ。
心の中で自分に突っ込む。
「似合っている……けど、スカートが、短い」
梓は真顔のままそう言い残し、どこかへ行ってしまった。