隣の圏外さん
「えぇ」
常盤君はその女性を見るなり、顔をしかめた。
どういう関係だろうと2人を見比べていると、常盤君が口を開く。
「姉。この人、ここから1時間半くらいはかかるところに住んでいるのに、わざわざ来たんだけど」
「お母さんから、倫太郎が珍しく学校行事に精を出しているって聞いたからさー。見ておかないとって思って!」
お姉さんはそう言いながら、常盤君の肩をバシバシと叩いている。
「こんにちは。常盤君と同じ放送部の永瀬です。常盤君にはお世話になっています」
私が挨拶をすると、お姉さんも返してくださった。
「どうもご丁寧にー! 倫太郎の姉ですー。いつも倫太郎がお世話になっております」
常盤君の話を聞いて、強そうな人を想像していたけど、可愛らしい感じの元気な人だった。
いや、やっぱり常盤君に対しては強いのかな。