隣の圏外さん
「来年の体育祭で、なんとか田中先輩みたいに盛り上げられたらいいなあって思って」
「うわ、また努力が変な方向に行っている」
「でもやっぱり、田中先輩みたいな言い回しは載っていないよね」
パラパラとページをめくりながら言う。
それでも、少しは役に立つかもしれないと思って借りてきた。
「まあ、田中先輩のあれは天性のものだろうし」
「図書室には置いていなかったけど、元テニス選手の方の本を買おうかなあ」
「永瀬さんがああいう感じの熱血キャラになったら、普段と違いすぎて怖い」
「あはは」
雑談もそこそこにして、練習を始める。
交互に読んで、お互いの改善点を指摘し合う形式だ。