隣の圏外さん
そしてまた役割を交替して、私が朗読する番になる。
「母音がイのとき、微妙にこもってない? 舌の位置かな」
なんでだろうと言いながら、倫太郎君が何回もキとかリとかを発音している。
「もしかして、舌を長い間歯の裏にくっつけてない?」
倫太郎君にそう言われて、私もリと発音してみる。
「あ、そうかも! 癖になっちゃっているよ、直さないと」
直すべき箇所を意識して、原稿を読み直す。
そしてチャイムが鳴るまで、何度も交替して原稿を読み合った。
今まで、間の取り方とか読む速さとか、そういうところにばかり意識が向いていたけど、今はもう1歩踏み込めている気がする。
そんな手ごたえを感じながら、中間試験の前では最後となる部活を終えた。