隣の圏外さん


 中間試験が終わって、大会直前の部活へ向かう。


 今日は、2年生の先輩方にも審査員になっていただき、本番と同じような形式で練習した。

 しばらく試験勉強に勤しんで、練習できていなかったせいか、時間の感覚をつかむのが難しい。


「永瀬さん、かなり時間ギリギリだから、若干テンポを上げた方がいいかも」

 時間を計ってくださった先輩から、アドバイスしていただいた。


「はい。もう一度お願いしてもいいですか」

 そう言って頭からやり直そうとすると、倫太郎君から声をかけられた。

「最後の文、イントネーションが変だった気がする」


 倫太郎君の言葉を聞いて、原稿を見返す。

 倫太郎君の意見を聞きながら調整し、再び原稿を読み上げた。


「倫太郎はかなり速いな」

 倫太郎君の番になり、時間を計っておられた2年生の先輩がそう告げる。


「文字数を増やした方がいいのか? まだ変えられたっけ?」

 他の先輩がおっしゃった。


「いや、聞いていても速いって感じるくらいだから、文字数はそのままでもう少しゆっくり読むのがいいと思う」


「あ、それと倫太郎君、読むのが速いからかもしれないけど、助詞が流れがちかも」

 私も先輩方に混ざって意見を述べる。


 そうして最終的な調整を重ねていった。

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