隣の圏外さん
「結局、永瀬さんの考え方がよかったってことじゃん?」
倫太郎君は私の講評の紙を返しながら微笑んだ。
小さなことでも、認めてもらえると、やっぱり嬉しいな。
「お二人さん、好きなの選んで。ご褒美」
顧問の先生が自販機の前で立ち止まった。
「やった! ありがとうございます。私、これがいいです」
私はコーンポタージュを指差した。
寒くなってきたのでラインナップに追加されいる。
「俺は、これで」
倫太郎君は黄色い炭酸飲料を受け取って、先生にお礼を言った。
前にも同じのを飲んでいた気がする。
「自分も出た後の方が、美味いね」
倫太郎君がひとくち飲んだあと、小声で呟く。
しっかりその言葉を聞き取った私の胸の内には、温かいものが充満していった。