隣の圏外さん


 そうしているうちに、なんとなく梓に話したくなってくる。

 前回よりも、上手くできたんだよって。


 聞いてくれるかな。

 前回のとき、応援してくれた梓だ。

 きっと聞いてくれる。

 そう確信しながら、電車から降りる1歩を踏み出した。


 最近、また少し寒くなったな。

 駅から高校までの道を歩きながら、それを実感する。


 私の気持ちとは裏腹に、外気は冷たい。


 校舎に入って教室までの廊下を歩いていると、私のクラスの扉の前で佇む美人の先輩が目に入った。


 また、だ。

 もしかして、梓に用があるのかな。


 そんなことを考えながら、自分の教室へ近づく。

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