隣の圏外さん
「あれ、まだ倫太郎君だけなんだね」
放送室に入って、倫太郎君に声をかける。
掃除当番で遅くなったので最後かと思ったが、2年生の先輩の姿は見えなかった。
「そのうち来るんじゃない」
倫太郎君がそう言った瞬間、放送室の扉が開いた。
「ふたりとも、こっち来て」
2年生の先輩に手招きされ、放送室を出る。
そして誘導された先は、隣の教室だった。
その教室に足を踏み入れた瞬間、パンッと破裂音が鳴る。
クラッカーの音だ。
「入賞おめでとうー!」
「えっ、ありがとうございます」
そこには、他の2年生の先輩もいらっしゃった。
いつの日かの歓迎会みたいに、机の上にはお菓子とジュースが並べられている。