隣の圏外さん
それでも、たまに触れ合う肩のせいで集中できなくなる。
梓には先輩がいるから、こんなことでは何とも思わないんだろうなあ。
それより先輩がいるのに、2人きりで勉強してもいいのかな。
勉強だから、いいのか。
私のことなんて放っておけばいいのに、こうして面倒を見てくれて、優しいな。
「また授業で先に進むだろうから、わからなくなったら遠慮なく聞いて。俺も息抜きになるし」
ひと通り教わった後で、梓がそう言ってくれた。
「ありがとう、本当に助かった。でも、勉強を教えるのが息抜きになるの?」
「なるよ。自分で解いてばかりだと、厭きてくるし」
梓はふっと笑みをこぼした。
「それに、永瀬に教えて、永瀬が自分で解けるようになったら達成感あるし、嬉しいじゃん」
「それはそう、なのかな」