隣の圏外さん
次の日、登校すると教室には倫太郎君の姿があった。
自分のカバンを置いて、昨日倫太郎君の家で渡すつもりだったクッキーとマドレーヌの詰め合わせを手に取る。
すると、倫太郎君が教室を出て行ってしまった。
倫太郎君の後を追いかける。
「倫太郎君」
私が声をかけると、倫太郎君は振り向いた。
「ああ、永瀬さん」
倫太郎君は手に紙を持っている。
「これ、電車の学割を受けるための申請書」
私が不思議に思って紙を見つめていると、倫太郎君が答えてくれた。
長距離の移動で、割引になるらしい。
冬休みにどこかへ出かけるのだろうか。