隣の圏外さん


 そのまま約束した通りに校門の前で待つ。


 明日じゃ駄目なのかって、言われなかったな。


 脈ありだとかそういうのじゃなくて、ただ単に梓が優しいからかもしれない。

 それでも、即刻向かうと判断してくれたことが嬉しかった。


 そわそわしながら駅へ繋がっている道をじっと見つめる。


 それからある程度の時間が経つと、遠くの方から歩いてくる梓が見えた。

 そして梓も私に気づいたようで駆け寄ってきてくれる。


「遅くなってごめん。寒かったでしょ。はい」

 梓はそう言って、コーンポタージュの缶を差し出した。


 突然のことに、瞬きを繰り返す。

「ありがとう」


 呼び出したのは私の方なのに。

 買ってきてくれたことにも驚いたけど、私の好きなものを覚えてくれていたことにも驚いた。


 受け取った後で辺りを見回すと、下校する生徒がちらほらと目につく。


「公園に行こっか」

 梓がそう提案してくれたので、私は頷いて返した。

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