隣の圏外さん


 梓と恋人として時を重ねていき、桜が舞う季節になった。


 私たちは、今日から高校2年生になる。


 また皆と同じクラスだといいな。

 そんな淡い期待を抱きながら、掲示されたクラス発表の紙を見に行く。


 A組から順番に見ていくけれど、自分の名前が見つからない。


 そしてD組の名簿にようやく寺元梓の文字を見つけた。

 そこで目の動きを一旦止める。


 神様、お願いします。

 そう祈ってから、視線を下にずらす。


 ――あった!


 また、梓と同じクラスだ。


 こんなに嬉しいことはない。

 自分の胸の前で手をぎゅっと握りしめた。


 ただ、D組に凛ちゃんや倫太郎君の名前はなかった。

 そこは残念だ。

< 212 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop