隣の圏外さん
2年D組の教室に入って、座席表を確認する。
割と後ろの方だ。
それから自分の隣の席の名前を見て、喫驚した。
梓と同じクラスなだけじゃなくて、また隣の席である。
運命じみたものを感じずにはいられない。
さっそく梓に連絡しようかと思ったものの、やっぱり自分の目で見て驚いてほしくて、大人しく待つことにした。
それにどのみち、朝練から教室に向かう間ではスマホを確認しないかもしれない。
チャイムが鳴る時間の直前になって、梓は教室に入ってきた。
私の姿を見つけ、手を振ってくれる。
もちろん私も手を振って返した。
座席表を確認する梓を眺めていると、梓が目を見開いたのがわかった。
そしてこちらにずんずんと近づいてくる。
「やった、ついてる。また可愛い彼女の隣だ」
隣の席に座った梓が、眩しくなるような顔で私に笑いかけた。
【完】