隣の圏外さん


「やっぱり全然駄目だったね」

 結果を聞き、帰ろうと皆で集まったところで私から常盤君に声をかけた。


「まぁ、俺は永瀬さんもよかったと思うけど」

「お気遣いありがとう」


 わかってはいたことだが、ちょっぴり残念だ。

 でもなぜだろう。残念な結果に終わってしまったことによる落胆よりも、挑戦したという事実に対する充実感の方が大きいような気がした。


「なんかちょっとグッときたし」

 聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で常盤君が言う。

 選んだ部分は良かったのだろう。


「おっ、倫太郎も出てみたくなったか?」

 部長が嬉しそうに身を乗り出した。


「常盤君も次は一緒に出ようよ」

 私がそう誘うと、常盤君は目を逸らした。


「……考えとく」

「出ろよ倫太郎~」

「素直になれよ、倫太郎」


「お疲れ様ー!」

 先輩方が常盤君をつついていると、顧問の先生がはち切れそうなほど膨らんだレジ袋を持って集合場所に寄ってくる。

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