隣の圏外さん
「この間言ってたオープンキャンパスのことなんだけど」
休み時間が終わりそうな頃、梓に話しかけられた。
「あの、私、補習に引っかかっちゃって……だから、日にち次第では行けないかも」
こんなことを言わなくちゃならないなんて。恥ずかしすぎる。
「それなら、今週の土曜らしいから大丈夫だと思うけど」
「えっ」
「あそこに貼ってある。俺の友達が言ってた」
梓は黒板の横にある掲示板あたりを指した。
「ってか補習なんだな」
「うん」
馬鹿だって思われているかな。
こんなことになるなら、もっと数学にも力を入れておけばよかった。
「俺、今日部活休みだから残ってこれをやるけど、一緒にやる?」
梓は夏休みの課題用に配られた薄い問題集を持ち上げて見せた。
「範囲被ってるだろうし、わからないところ教えるけど」
これにはもちろん乗っからせてもらうしかない。