隣の圏外さん
夏休み
オープンキャンパス
オープンキャンパスの日である。
母親にオープンキャンパスへ行ってくるということを伝えると、「この前高校受験が終わったところなのに」と驚いていた。
私もそう思うし、やはり一般的な感覚としてはそうなのだろう、と少し安堵する。
久々に外に出ると、太陽ってこんなに眩しかったけと感じた。
梓と待ち合わせしている大学の門へ向かうと、既に来ていたようで、壁に背を預けるように立っている梓が目に入る。
シンプルでシックな格好だ。すごく似合っているし、高校生なのにそのまま大学生として馴染めそう。
「お待たせ」
声をかけると、梓がこちらを見た。
「いや、俺も今来たところ」
私もできるだけ大人っぽい格好をしてきたつもりだけど、どうだろう。変じゃないかな。反応がないのでわからない。
「焼けたね」
私がそう言うと、梓は自分の腕を見た後、私の腕と見比べた。
「うん。ずっと部活の練習あるし。永瀬は全然焼けてないな」
「全然外に出てないから。そう言えば、1年生なのにレギュラーなんだってね。凄い」
そういった情報は、女の子たちが騒ぎ立てているので自然と耳に入ってくる。
「まぁな。ギリギリ」
話をしながら模擬講義を受ける校舎に向かう。
今回は工学部の講義に申し込んだ。
正直私は理系向きじゃないと思うけれど、そのうち文理選択があるわけだし、一度どういうものか見ておこうと思ったからだ。
まず大きい講義室で話を聴き、その後で研究室の見学をするらしい。