隣の圏外さん
夏休み

オープンキャンパス



 オープンキャンパスの日である。


 母親にオープンキャンパスへ行ってくるということを伝えると、「この前高校受験が終わったところなのに」と驚いていた。

 私もそう思うし、やはり一般的な感覚としてはそうなのだろう、と少し安堵する。


 久々に外に出ると、太陽ってこんなに眩しかったけと感じた。


 梓と待ち合わせしている大学の門へ向かうと、既に来ていたようで、壁に背を預けるように立っている梓が目に入る。

 シンプルでシックな格好だ。すごく似合っているし、高校生なのにそのまま大学生として馴染めそう。


「お待たせ」

 声をかけると、梓がこちらを見た。


「いや、俺も今来たところ」


 私もできるだけ大人っぽい格好をしてきたつもりだけど、どうだろう。変じゃないかな。反応がないのでわからない。


「焼けたね」

 私がそう言うと、梓は自分の腕を見た後、私の腕と見比べた。


「うん。ずっと部活の練習あるし。永瀬は全然焼けてないな」

「全然外に出てないから。そう言えば、1年生なのにレギュラーなんだってね。凄い」

 そういった情報は、女の子たちが騒ぎ立てているので自然と耳に入ってくる。

「まぁな。ギリギリ」


 話をしながら模擬講義を受ける校舎に向かう。


 今回は工学部の講義に申し込んだ。

 正直私は理系向きじゃないと思うけれど、そのうち文理選択があるわけだし、一度どういうものか見ておこうと思ったからだ。


 まず大きい講義室で話を聴き、その後で研究室の見学をするらしい。

< 45 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop