隣の圏外さん
「じゃあね」
「おう」
同じ建物内ではあるものの、梓とは申し込んだ見学先が違うので別れた。
こういうとき、全部一緒に回るのではなく、それぞれ自分の選択を優先する感じがなんとなく心地よい。
案内された部屋に入ると、大きな機械が目に入った。結構狭い。
スクリーンにいろいろな画像と文章を映しながら、教授が私たちに研究内容を説明する。
全部の内容が理解できるわけじゃないけど、思ったより面白そうかもしれない。
見学を終えて、校舎を出るとすぐに梓も外に出てきた。
「どうだった?」
梓に駆け寄って声をかける。
「なんか細胞を顕微鏡で見た」
「えっ、それ楽しそうだね」
「永瀬のところは?」
「ずっと教授が楽しそうに研究のことを話してた」
それから終わった頃にはすっかりお昼時が過ぎていたため、お腹が減ったね、という話になりキャンパス内の食堂に入った。