隣の圏外さん


 何か喋った方がいいかな。と言っても話題が思い浮かばないけど……あ。

「凛ちゃんってどこの中学だったの?」

「小坂南だよ」

 凛ちゃんがそう言いながら扉の方を見た。

「そう言えば、あの扉の前にいる女の先輩も小坂南だったんだよね」

「えっ、先輩なの?」

 驚いた。ふたりは知り合いなのかな。

「先輩だよ。美人で有名だった」

 あれだけ顔が整っていれば存在が知れ渡っているのも(うなず)ける。


「……一緒にいる人も同じ中学だったのかな」

 寺元梓の転校先は小坂南中ではなかったような気がするけど、さりげなく聞いてみた。

「いや、男子の方は見たことないから違う中学だったんじゃないかな」

「そうなんだ」

「肉食っぽい先輩だしあのイケメン君も目をつけられたのかもね~」

 そう言って凛ちゃんは笑っている。

 入学2日目で早すぎやしないか。


 そのまま雑談を続けていると、いつの間にか本鈴が鳴って担任の先生が入ってきたので凛ちゃんは前を向いた。

 ふと横を見ると、いつの間にか寺元梓も戻ってきていた。

< 6 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop