隣の圏外さん
昨日2年生の先輩に言った通り、3年生の教室へ来た。
休み時間なのにほとんどの人が参考書を開いて勉強していて、ピリッとした雰囲気である。さすが受験生だ。
「すみません、田中先輩はいらっしゃいますか」
入口付近を通った人に声をかけると、すぐに田中先輩を呼んできてくださった。
「久しぶり。どうかした?」
「体育祭で先輩が何に出場されるのかを聞きに来ました」
「あー、そう言えば決めておかないと駄目だったね。わざわざありがとう」
先輩に教えてもらった競技をメモ帳に書く。
田中先輩にお礼を言って次は部長だ、と思ったらちょうど部長が廊下を歩いていたので小走りで近づいた。
「部長」
「うわっ。どうした」
急に現れたからか、驚かせてしまった。
「体育祭の出場種目を教えてください」
部長は納得した様子で競技名を挙げていく。その中にはクラス対抗リレーも含まれていた。
「足が速いんですね。昨日2年の先輩から聞いてビックリしました」
「まあ、そこそこだな。そう言えば最近倫太郎はどんな感じだ?」
「新人大会に出ようって誘ったら、断られました」
私がそう言うと、部長は吹き出した。
「相変わらずだな」
またお礼を言って、3年生の教室が集まる階を後にした。
全員の出場競技と体育祭のプログラムを確認しながら、放送の役目を割り振っていく。
それを顧問の先生や2年生の先輩に確認してもらい、部員全員に配った。
準備万端だ。