隣の圏外さん
体育祭 午前
体育祭の日がきた。
最初の競技種目は2年生の200メートル走だった。
次が私の放送する番だったので、先輩の放送を見て学んでおこうとテントの下に来たのだけれども。
「トップを走っているのは……赤組だアアアアアァァ! 我々のもとに伝ッ説の火の鳥が舞い降りたアアァ! 速い速い! おーっとその後ろを青組! 航海士泣かせの荒波が押し寄せているッ! ここはドレーク海峡だったか! さあ火の鳥が逃げ切るか、荒波が吞み込んでしまうしまうのか……ああ赤組が逃げ切った! 1位は火の鳥イイイイイィィ!」
「た、田中先輩凄いね」
横にいる常盤君に話しかける。
「普通にやったら駄目なら俺はパスするけど」
「そりゃいいに決まってるでしょ」
小声でそう告げて、逃げようとしている常盤君の服の裾を引っ張る。