隣の圏外さん
「お疲れ様です」
「お疲れー! 頼んだよ」
私たちの番がやってきたので、先輩と交替してベンチに座る。
私もなんとか盛り上げようと頑張ってみたけれど、常盤君にそういうキャラじゃないのに無理している感が出てると言われてしまった。
普通にやろう。
「常盤君ってさ、いつも基礎練習せずに放送室に居座ってるんだと思っていたけど、案外1人で練習してるの?」
私たちの番が終わり、テントを出たところで常盤君に声をかける。
一緒にアナウンスしているしているときに思ったことだ。
「なんで?」
「さっき聞いていてそう思っただけ。普通のときと声の出し方が全く違う」
「へー。耳が良いんだね」
常盤君は頬を掻いた。
正解ってことでいいのかな。
「じゃ。俺この次の借り人競争に出るから行くわ」
「あ、うん」
お互い片手を上げて別れる。
常盤君は入場待機ゾーンの方へ行き、私は白組の応援席に戻った。