隣の圏外さん
電波強度 -100dBm
「梓、この女物っぽいシャーペンはなにー?」
「俺のだよ。俺ってピンクも似合っちゃう男だから」
「やかましいわ」
「はは、ごめんって」
「なんか嘘くせぇんだよな」
「でも確かに何色でも似合いそう」
2週間ほどこのクラスで過ごして気づいたことがある。
寺元梓の周りには、よく人が集まる。
そしてうるさい。
集まっている人たちは、私のような人間とはタイプがまるで違う。
中1の頃、私と寺元梓がよく話す仲だったというのが不思議なくらいだ。
あのときも隣の席だったのがきっかけで仲良くなったっけ。
チャイムが鳴ると、集まっていた人たちは散っていった。