隣の圏外さん
体育祭 午後
外へ出ると、太陽にほぼ真上から照りつけられて、とても眩しく感じた。
もうちょっと曇っていてくれてもよかったのに。
「私のときも、あの面白い人が放送してほしいなあ」
「えー。寒くない?」
「あれくらい盛り上げてくれた方が思い出になるじゃん」
「そうだよね。私もあの人がいい」
私以外にも昼食を食べ終えた人たちがちらほらと外に出ていて、すれ違いざまに会話が聞こえてきた。
おそらく、田中先輩のことを言っているのだろう。
全員が好むわけではないのかもしれないけど、かなり人気があるようで嬉しくなってしまう。
私はそのまま歩いて、正面のテントの横に陣取った。
写真を撮ろうと思っていたけど、動画の方がいいかな。
チア部の入場から始まるまでの間、凛ちゃんの写真をアップでたくさん撮り、始まってからは動画撮影に切り替える。
うん、バッチリだ。
可愛いなあ。ダンスもとても上手だ。
終わるのと同時に撮影終了のボタンを押し、思い切り拍手をして退場を見送った。