隣の圏外さん
白組の応戦席に戻ると、梓に声をかけられた。
「永瀬。ちょっと練習しておこうぜ」
「二人三脚? 紐がないけど」
「俺のハチマキ使う。本番もどっちかのハチマキでやるらしいし」
ふたりで隅の方のスペースに移動し、梓が足首にハチマキを結んでくれた。
「よし」
梓が立ち上がって、私の肩に腕を回す。
うわ。うわわわわ。
「外側の足からな。いくぞ、せーの」
いや、ちょっと待ってほしい。
今の私はそれどころじゃない。
でもそんなことは言えず、なんとか足を動かし梓についていくしかない。