隣の圏外さん
「位置について、よーい」
パァン!
「せーの。1、2、1、2」
開始の合図が鳴るや否や、声をかけ合って外側の足から前に出して進む。
走っている間は、とにかく前へ進むということで頭がいっぱいだった。
意外と密着していることに気を取られずに済んで、助かったなと思う。
そして結果は2着だった。
1着じゃなくて残念だけど、運動音痴の私は体育祭でこんな順番をもらうのが初めてで凄く嬉しい。
「やった!」
私がそう言うと、梓が両手を差し出してくれたのでハイタッチする。
白組の応援席に戻ると、ニヤニヤした凛ちゃんに迎えられた。
「バッチリ写真撮ったよ」
凛ちゃんはそう言いながらカメラのデータを見せてくれる。
改めて客観的に自分たちを見るのはなんだか恥ずかしい。
「ハイタッチしてるときの写真まである」
凄い。タイミングもばっちりだ。
「私もいっぱい撮ってもらったからね」
凛ちゃんは満足げに笑った。