隣の圏外さん
プログラムは順調に進んでいる。
もう自分の出場する種目は全て終わり、あとは見て楽しむだけなので気楽になった。
フェンスに張られている各組の大きな得点表を遠目に見比べて確認すると、どうやら白組は今のところ4位らしい。
3位の桃組とは僅差なので、この後のリレーの結果次第では入賞が期待できる位置であろう。
リレーは勝った場合に入る得点が、他の競技とは段違いで大きいと聞くから。
色別対抗リレーが始まり、応援に勤しんでいると、常盤君が駆け寄ってきた。
「永瀬さん!」
常盤君は慌てた様子で手招きしている。
「どうしたの?」
「田中先輩が体調不良で保健室に行っちゃったから代わりに来て」
「えっ。大丈夫なの?」
最も盛り上がるであろう最後のクラス対抗リレーの放送担当は、田中先輩と常盤君の予定だった。
「わからない。けど、これだけ暑いのにあんなに騒いでいたら、そりゃ体調不良にもなるでしょ」
急に不安が押し寄せてくる。
田中先輩は大丈夫だろうか。
今はとにかく行くしかないと思い、常盤君と共に放送テントへ急いだ。