セカンド・ファーストラブ
「いやぁ、予想外の収穫だったわ」

「は?予想外?」

「いやさ?水篠ってなんとなくチャラそうな奴はタイプじゃないだろうなって思ってたけどそうでもないらしいぜ?」

「…それ、どういう聞き方したんだよ」


さすがにチャラそうな奴は水篠の雰囲気には合わなすぎる、と思って近江を疑わしげに見た。


「シンプルにどういう男がタイプ?って聞いたら、はっきりとわからないって言われたから、じゃあ最近男見てかっこいいって思ったのは?って聞いたら美容師って言ってた。美容師ってチャラいイメージあるから俺も予想外でさ-」


そう面白そうに笑う近江の言葉に俺も驚く。なぜピンポイントで美容師?


「…なんで美容師がかっこいいって?」

「あー、なんかこの前カットモデル頼まれて美容師のアシスタントの人にやってもらったらしいんだけど、そのときの夢に向かって努力してる感じがかっこよかったって」

「いやそれ結局チャラくないんじゃない?」

「…あっ」


とりあえず、自分の夢に向かって努力してる人がタイプってことなんだろう。俺には持ってないもの。

しかも、話を聞くからには水篠が最近綺麗になったのはその美容師の男のおかげってこと?


教室の中央の方の席に凜と座ってる水篠の横顔を見つめた。

気に入らない。水篠にかっこいいって褒められたその男が。そしてその男が水篠の魅力をさも理解しているかのような髪型へと変えたことも、気に入らなかった。


俺の方がきっと水篠の良さを完全に理解して、もっと綺麗にできる。
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