セカンド・ファーストラブ
自分でも単純だってことは重々承知。

だけど今まで夢も目標もなかった俺の中にスッと降りてきた欲望は、たとえ理由が不純であったとしても俺が渇望していたもので。これは一時的な感情なのかもしれないってことはわかっていたけど、どうせ今まで夢や目標のひとつもなかったんだから一時の感情に流されても許されるだろ。


水篠がいうその男よりも良い美容師になって、その男よりも水篠を綺麗にしたい。いや、その男だけじゃなくて水篠の良さを完全に理解してそれを一番に引き出せるのは俺が良い。だって俺が誰よりも水篠のこと好きな自信があるから。

それに水篠にかっこいいって思われるような努力する人間になりたい。

たったそれだけ。そんな単純な思考回路で俺は白紙だった進路希望調査に、はじめて堂々とした大きな文字で美容専門学校と書いた。
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