虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 気乗りしないながらも、ふたりに迫られて自身の髪飾りに手をかける。ゼノハルトから贈られたそれには、花を象った宝石がはめ込まれていた。

 もし扱えるのなら、色に関連した力が発現する。赤ならば火が、黄ならば雷が、青ならば水の力だ。原理はわかっていないが、そういった理由があってこの世界の電灯には黄色い魔石が使用されている。厨房に赤い魔石が常備されているのもそのためだ。

(なにもできないってわかったら、ふたりに嫌われちゃうのかな)

 髪飾りに視線を落としたアルトリシアが肩を落とす。嫌だと逃げても、彼らが期待する通りに頑張ってみても、どちらも結果は変わらないように思えた。

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