虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 不安げなアルトリシアを抱き上げ、ゼノハルトはほんの少し頬を緩めた。

「お仕事は?」

「終わらせた。街での話をゆっくり聞かなければならないだろう?」

「楽しかったよ!」

 なにが、とは言わずアルトリシアが目を輝かせる。

「あのね、今日は――」

「もう言っちまっていいのかよ?」

 ふたりの様子を横で見ていたサフィが、くっくと笑いながら指摘した。

 お守りの件はまだ秘密なのだったと、アルトリシアは慌てて自身の口を手で覆う。

 子どもらしい仕草は、ゼノハルトの口もとをほころばせた。

「なんだ、私には言えない話なのか」

「ううん! そうじゃなくて……まだ内緒なの」

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