虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 アルトリシアが笑顔になって自身の汚れた手を服の裾で拭った。クズ石として捨てられたものは、どうしても土埃にまみれていて手が茶色くなってしまう。

「また怒られても知らねェぞ」

「あっ」

 無意識のはしたない行動をサフィに指摘され、慌てて土のついた服を払おうとする。しかし、一度ついた汚れは簡単に落ちてくれない。

「淑女にならなきゃいけないのにね」

 アルトリシアが肩を落として言う。

 彼女の教師たちはふた言目には「立派な淑女になりましょう」と諭した。いずれ夜会に出る日も来るのだからと、立ち居振る舞いも厳しく見られるようになっていたのにこれである。

< 182 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop