虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 彼女は意識的に哀れみを誘う表情をしているわけではない。ただ、ゼノハルトがおねだりに弱いだけだ。

『アルティ、アルティ』

 諦めかけたアルトリシアの頭の中でルブの声が響く。

『たしかにお前の能力ってすごく特別だけどさ。今、加工した魔石にくっついてる効果なんてたかが知れてるだろ? 触ったときにちょっと冷たいだけの石なんか、誰も貴重な能力でできたものだって気づかないよ』

 ゼノハルトは娘の顔が少し明るくなったと気づく。また自分の知らないところでふたりと話しているのだろうと察し、話しかけずに黙った。

『もうちょっとかわいくおねだりしてみろよ。お前のパパはそういうのに弱いから』

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