虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 日頃、アルトリシアを抱き上げたがるゼノハルトも、今は彼女を好きなように歩かせていた。気になる店があれば足を止め、食品を購入しては食べて感想を言い合う。

 火事の騒ぎが嘘だったのかと思うほど穏やかな時間だった。

(いろいろあったけど、思い出の一日になったな)

 香ばしく焼き上げられた鶏の串焼きを頬張り、アルトリシアは今日を振り返る。

(そういえば、あの騒ぎのあとにメルニエラがいなくなってた。手は大丈夫だったかな……)

 自然と神子という言葉が脳裏によみがえる。妹だけのものだと思っていたのに、今はアルトリシアもそう呼ばれるようになってしまった。

< 231 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop